先の支部理事会におきまして、日本鋳造工学会関西支部第29代支部長を拝命致しました株式会社栗本鐵工所の新宮でございます。学術関係団体の運営は初めてでありますが、支部長という大役を果たすべく微力ながら精一杯努めてまいりますので皆様方のご協力とご支援を賜りたくよろしくお願い申し上げます。
私の金属、鋳造分野のかかわりは大学時代の銅基系制振合金、修士時代の鋳鉄の耐摩耗性の研究に始まり、入社した会社での鋳物の生産技術(鋳造方案、品質管理)でありまして、大学院時代における当時の鋳物協会での研究発表、論文投稿が懐かしい思いです。当時はまだ金属工学科や材料工学科として独立した学科で鋳造工学をはじめ様々な教室、講座が存在していた時代でした。現在では当時の各研究分野が規模を縮小し、機械系学科に編入されているようであり寂しく思うとともに、3K職場のイメージも相まって鋳造分野に携わる人材が減少していることに危惧しております。
鋳造工学は成型、流体、凝固、熱移動、金属組織、熱処理等の技術が絡み合う学問ゆえ鋳造工学としての専門性を深耕するのが難しいのかもしれません。
しかしながら素形材分野において鋳造は、鍛造や溶接等の他の分野と同じく基幹となる製作法としてさらなる発展が期待されます。
我々の技術や技能が社会貢献に寄与していくためにも鋳造の学問、技術、技能を産・学・官の連携をもって活性化させなければならないと考えます。
米中貿易戦争に加え、長引く新型コロナ禍により景気はこれまで経験したことのない大幅後退、また当学会の諸活動にも支障を来す大変な状況となっております。
あらためて皆様方のお力添えをお願いする次第です。